2スナネズミの体毛に関係する遺伝子について
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さて、スナネズミの毛色には、色々なものがありますが、ここでスナネズミの毛の色についてみてみましょう。

腹側には純白の毛が生えています。背中側には黄色い毛と黒い毛が見えますね。背中側の2種類の毛は、おそらく主毛(太くて長い毛)と副毛(短く細い毛)の違いだと思います。で、これらの毛の色がそれぞれ全体であったり、一部分であったりがさまざまに変化して、いろいろな色が出来てきます。
では、この毛の色、いったいいくつの遺伝子で、決められているのでしょうか?
最近調べてみたところでは、有名どころで、
A、C、D、E、G そして P の6つの遺伝子によって基本的な色が決められているようです。(これ以外にもSpなど斑遺伝子もあります。)
これらの遺伝子には、それぞれ、劣性遺伝子や不完全優性遺伝子等の対立遺伝子の存在が知られています。これらの組み合わせだけでも、最低2の6乗つまり64種類以上の色スナが出来ることになります。さらに、これらに新しい復対立遺伝子が絡んでくれば、そのバリエーションはもう天文学的な数になっていきます。
それでは、それぞれの遺伝子個々の特徴について見て行きましょう。
遺伝子記号の約束事として、本来遺伝子記号はイタリック体で表記されますが、ここではすべて通常書体で書かせていただきます。
そして、先ほども述べましたが、優勢の遺伝子は大文字で、劣性の遺伝子は小文字で表記されます。
また、2つあるうちの一つは優性遺伝子でも劣性遺伝子でも同じ結果になる場合は一般化するために”ー”(ハイフン)で省略されることもあります。
| A-C-E-G-P- | これが、野生型で、それぞれが一つづつあれば、通常色になります。専門用語で野生型はアグーチ色(Agouti:南米産のアグーチというテンジクネズミの仲間)と呼ばれます。 |
| A遺伝子座 | AA, Aa : 野生型ではお腹に白い毛、背中に茶色の毛が生えます。
aa: これはself color 遺伝子と呼ばれており、この遺伝子ホモになると、お腹と背中が同一の色になってしまいます。つまりお腹まで色の付いた毛が生えてくることになります。またこの遺伝子が単独でホモaaになると全体が黒い個体になります。 |
| C遺伝子座 | ヒマラヤン・バーミーズ遺伝子
c[h]や最近見つかったc[b]遺伝子は、どちらも体色を薄くする効果がありますが、体の末端部分では逆に色素沈着を起こします。その結果、頭・耳・手足・しっぽが黒く体が明るい色になります。また体の色はc[h] の方がc[b] より薄くなる不完全優勢の遺伝子です。(ただしpp遺伝子など他の劣性遺伝子が発現している場合のみに不完全優勢の特徴を示し、他の遺伝子が野生型の場合は劣性の特徴を示すので、この遺伝子自体は劣性と認識されている。) CC: 野生型で通常色の毛になります。 Cc[b]: 通常色。ただし、共存する他の遺伝子の影響により、少し明るい色になる。 Cc[h]: pp と同時に存在すると明るい色になるc[b]より明るい。 c[h]c[b]: シャム猫様の特徴を持つ c[h]c[h]: 体色は白くなるが黒いしっぽをもつ c[b]c[b]: シャムよりも少し濃い色の毛を持つ(バーミーズ系等) |
| D遺伝子座 | Dilution geneの略 近見つかった遺伝子でその実物がどの様なものかはあまり記録がない。
DD, Ddで通常色 dd では黒い色素が凝集し元来の色を変化させる遺伝子とされ、ラットなどで見つかっていたが、ようやくスナネズミでも発見された。 |
| E遺伝子座 | Extension gene の略で
EE, Eeは通常の体色 ee: 野生種で生えている下毛の色を青みのかかった灰色の毛を黄色に変化させる遺伝子で単独ホモ個体ではダークアイドハニーと呼ばれる毛並みになる。この個体は特徴的な色の配置をもち、目の周りや肩などは白い毛で覆われ、かつてはアルジェリアンなどとも呼ばれていた遺伝子である e[f]e[f]: E遺伝子座の新しい復対立遺伝子で。ホモ個体ではシュメールと呼ばれる全体にオレンジ色がかった体色に変化させる遺伝子。年をとると色が薄くなっていくと言われる。 |
| G遺伝子座 | Gray factor gene の略で黄色の色素形成に関係する遺伝子
GG, Gg: 野生型で黄色の色素形成を行う。 gg: 黄色の色素形成が無くなり、黄色の色素が沈着する部分は白色になるが、黒い色素形成にも影響を持つと言われる。ホモ個体では全体として灰色になりチンチラグレーとなる。 |
| P遺伝子座 | Pink eyed geneの略で
PP, Pp: 黒い目をもつ野生型である。 pp: 目の色がピンク色になり、体色も明るい色に変化する。 |
さて、単独の遺伝子だけ見てもその色の作られ方が複雑だと思われるかもしれません。でも、実際はこれらの遺伝子が幾つか組合わさって実際の体色になりますから、その複雑さはなかなか難しいと思います。
私の師である、とある動物遺伝学者は「色の道は難しいからねぇ・・はっはっはっっ(^^;」と申しておりましたから、きっとそうなのでしょう(^^;
そこで、幾つかのわかりやすい組あわせについて考えてみましょう。
AACCDDeeggPPと言う遺伝子型を持つスナの場合はどんな色になるでしょうか?
ACDP遺伝子座は野生色になりますよね。残りのee gg の組み合わせになると、eeによりベースの灰色が無くなり、ggにより黄色と毛先の黒の色素が無くなりますから、白くて目の黒い(多少赤くなる個体もいるようです)polarfox(北極ギツネ)とよばれるスナになります。
もう一ついってみましょう 少し発展です
AaCCDdEeggppの場合を見てみましょう。
ACED遺伝子座は共にヘテロですのでこれらも野生型になります。??と思った人は上の表をにらみつけてみて下さい(^^; で、残ったgg ppは、ggにより黄色と毛先の黒の色素が無くなり更にppの影響で赤目で且つ体色が明るくなりますので表現型としては赤目のクリーム色になるわけです。
実際の表現型は、このようにわかりやすいモノばかりではないのですが、色の遺伝子は、結局、体の中の特定の色を作り出す酵素が変化するものですから、最終的なスナの毛色は、この様な色酵素が体の中で競合しあった結果現れてくるものです。ですから実際の色はやってみないと判りません(^^;。思いも寄らない色が、現れることもあるかもしれませんよ(^_^)。
皆さんも挑戦してみては???
次の章では、ブリーディングの基礎的なことを解説します。
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